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母と娘

母親がこの世から居なくなったら、わたしはどう生きればいいのだろう?と
ずっとずっと恐怖だった。
その母は7年前に父の後を追うように呆気なく逝ったのだけど
その後のわたし・・・今のわたしは精神的に荒むこともなく普通に生きている。。。

そして自分の育った環境や、母のことをあれこれ想像するのは馬鹿げているように思えてきた。
しかし、母親の落とした影というものが、いかに影響力があるかということは、まだ少し恐怖だったりする。
その影を詮索してみもしたけれど、母親の領域に足を踏み込んでみたところで
それはわたしというフィルターを通した単なる想像に過ぎないし、
妄想の世界の「物語」なのだということを、ようやく理解してきたような気がしている。

母が亡くなる直前だった。
「わたしは、甘えて生きて来れなかった。だから、あなたを含めいろんな人に甘えてきたと思う。」
「じゃあ、よかったね。」とわたしは言ったが、本当は母の胸を叩きながら、泣き叫びたかった。
甘えられてきたわたしは、あなたを満足させることだけが喜びだったのに、残して逝かないで・・・と。

母が息を止めた瞬間、わたしは
「楽しかった?もっともっと楽しんで欲しかった。」と心の中で呟き、涙が出た。
誰からも慕われた活発で明るい母が、哀れに思えた。
何でそんなことを思ったのかわからない。母に対して失礼だと思ったけれど
わたしはずっと母を救いたかったのだろうとも思う。
子どもはきっとそう思うのだ。
それが憎しみになったとしても、愛情であることには間違いないと思う。

わたしには娘がいる。
彼女がこんな風に悲しまないようにしたいと思った。
それはどうやったらいいのかわからないけれど、
自分で自分を救うことしかないんだと思う。
よくわからないまま、瞑想をしたり、思考のクセを見つけたりと
わたしは今、もがいてるのかもしれない・・・

そんな中、最近やっと小説を読もうと意欲がわいて、
これを読んでみた。

橋本 治 / 文藝春秋



実はこの小説を読み終わった夜に、わたしは夢にうなされ、大泣きをしてしまった。
これが関係しているかどうかはわからないが、
この小説は母と娘の関係の、とても奥深い部分を抉り出していると思う。
印象に残る言葉がある
「母親はいつでもあらぬ方向を見ている。」
グサッときた。
母であり、ちょっと前まで娘であったわたしには、あまりにも深い言葉だ。



母が居なくなった後のわたし・・・今のわたしは精神的に荒むこともなく普通に生きている。



いや、どうなんだろう?
本当はそんなことはないのかもしれない。
と、思った。
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by normalin | 2010-07-13 18:43 | BOOKS